​不動産相続Q&A

Q1

母が亡くなりました、遺産は預貯金だけです。私は母の介護をしていたので、兄弟の話し合いで私がすべて遺産をもらうことになったのですが、何か書面に残した方がよいのでしょうか。

A

ご兄弟で遺産分割協議をされたのですね。

遺産分割協議は口頭で行うのみでも有効ですが、後日、争いが発生したときに有効性の証明が困難になりますので、遺産分割協議書という書面のかたちで残すことをお勧め致します。

なお遺産が預貯金だけとのことですが、もし遺産に不動産が含まれている場合に遺産分割協議で不動産の承継者を決めたのであれば、登記を申請するにあたって遺産分割協議書の提出が必要となります。

 

Q2

法務局から「この遺言書は使えません」と言われた。

亡くなった父が遺言書を作って自宅を私(長男)に遺してくれていたのですが、遺言書には「長男に横浜市神奈川区鶴屋町1丁目1番1号の自宅を相続させる」と書かれており、法務局にこれを持っていって手続きをしようとしたところ、この遺言書では登記できないと言われてしまいました。私には仲違いをしている弟がいて遺産の話で揉めているので、この遺言書が使えないと困ってしまいます。

A

遺言書をご自分で作成するとき(自筆証書遺言)は、下記点に従って作成しなければなりません

・遺言書のすべての文章・日付・お名前をご自分で手書すること。

※財産目録は自書しなくてもよいです。  

・押印をすること。

・正確な日付を記載すること。

加筆修正をする場合は修正箇所を指示し、これを変更した旨を付記して署名し、かつ、その変更の場所に押印すること。

上記以外にも、実際にその遺言を実行できるのかという内容面での注意も必要です。

遺言書では「横浜市神奈川区鶴屋町1丁目1番1号の自宅」と、住所地で特定をして

いるようですが、これでは不動産の特定方法としては不十分です。

土地には所在・地番、建物には所在・家屋番号が付けれていますので、必ず所在・地番(家屋番号)で特定してください。

遺言書が登記で使用できないとなると遺産分割協議をして頂くことになるのですが、

協議がまとまらないのであれば、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることで解決を

目指しましょう。ご自身で申立をすることも可能ですし、弁護士に依頼をされたい場合

は当センター提携弁護士の紹介が可能ですので、ご相談ください。

 
 

Q3

どこに不動産があるのか分からない。

母は生前、地方に不動産を持っていると話していましたが、正確な場所が分かりません。どうやって調べたらよいのでしょうか。

A

権利証(登記済権利証又は登記識別情報通知)に正確な場所が記載されておりますので、ご自宅に権利証がないかどうか探してみてください。銀行の貸金庫をご利用の方であれば、そこに保管している可能性もあります。

また年に1回、固定資産税の納税通知書が届くかと思いますので、その中の課税明細書の記載から確認することも可能です。ただし非課税不動産(公衆用道路等)がある場合は課税がされない関係上、納税通知書からは判明しませんので注意が必要です。

地方に不動産をお持ちとのことですが、もし市区町村が分かっているのであれば、寄帳を取り寄せるのも良いかもしれません。名寄帳にはその方がその市区町村内でお持ちの不動産の一覧が記載されています。

Q4

認知症の人との話し合いで財産分けはできるの?

父が亡くなりました。相続人は私と母のみです。母は現在、認知症で特別養護老人ホームに入居しています。

父名義の不動産を私の名義に変えたいのですが、母と遺産分割協議を行えばよいのでしょうか。

A

認知症等で判断能力がない、もしくは判断能力が足りない方が相続人の中にいらっしゃる場合は、家庭裁判所に対し後見開始の審判等を申立て、成年後見人等と一緒に遺産分割協議をして頂くこととなります。

 

Q5

相続の登記申請はどのくらい難しいのでしょうか。自分ではできませんか?

遺産分割協議で私が不動産を相続することになりました。

名義を変更しようと思い司法書士から見積書をもらったのですが、なんだか料金が高い気が

します。自分で申請するのは難しいものでしょうか?

A

相続の登記申請が難しいかどうかですが、①相続人はどうなっているか②どのような分け方をしたか③物件の状況はどうなっているか④申請しようとする方に相応の事務処理能力があるのかで難易度が変わってきます。

①相続人はどうなっているか

・・・

相続登記をするためには戸籍謄本を収集しなければなりません。

相続人が配偶者(夫や妻)・子供達であれば収集する戸籍は、被相続人の出生~死亡までの戸籍謄本と相続人の戸籍謄本だけになりますので、難易度としては高くありません。

しかし代襲相続(※1)・数次相続(※2)が発生していた場合は、上記に加えて代襲相続であれば被代襲者の、数次相続であれば死亡した相続人の出生~死亡までの戸籍謄本も収集する必要がありますので、難易度が高くなります。

なお、よく間違われる方が多いのが出生~死亡までの戸籍についてです。

被相続人の戸籍を取得すると死亡日のほか出生日の記載が載ってきますが、これだけでは出生~死亡までの戸籍とは言えません。

出生まで遡るためには、転籍前の戸籍や被相続人の父母が筆頭者であった時の戸籍も取得しないといけないのです。

(※1)

相続人となるはずであった子又は兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡した

(※2)

被相続人の死亡後、その遺産分割協議や相続手続きが終わらないうちに、相続人が死亡するケース

②どのような分け方をしたか

・・・

遺産分割協には様々な手法による分け方があります。

例えば換価分割という不動産等の遺産を売却し、売却金を相続人間で分配する遺産分割方法や、代償分割といって相続人の一部に遺産を取得させて遺産を取得した人が他の相続人に対して代償金を支払う方法です。

複数いる相続人の一人が不動産を取得する内容の相続登記をするためには、遺産分割協議書を作成しますが、換価分割・代償分割は専門性が高いためご自分で作成するのは難しいかと思われます。

③物件の状況はどうなっているか

相続登記をご自分で申請するときはまず最初に登記簿謄本を取得して現在の登記内容を確認してください。

・・・

名義が被相続人ではなく、その父母や祖父母であったというケースもよくあります。その場合は数次相続となりますので難易度が高くなります。

また被相続人の登記簿上の住所にも注目してください。

死亡時の住所と同じであれば良いのですが、そうでない場合は住民票や戸籍の附票を辿って、登記簿上の住所と死亡時の住所を繋げていかないといけません。

もし保存期間経過により取得できない場合は、他の代替物が必要となるのですが、なんの書類を代替物とするかは法務局に事前確認をする必要があります。

また相続した物件が地方にある場合も大変かもしれません。

法務局の管轄は不動産の所在地ごとに決まります。

相続登記の質問について内容が一般的なものであれば、登記電話相談室で応じてもらえますが、個別案件の相談(戸籍が揃っているか分からない、登録免許税額が合っているか教えてほしい等)は管轄の法務局でないと対応してもらえません。

そして管轄法務局での相談は原則的には事前予約での面談となっているようです。

④事務処理能力があるのか

・・・

戸籍の収集、遺産分割協議書の作成のほか、登記申請書の作成というのも慣れない方には大変かと思います。

申請書には被相続人・相続人の情報、不動産の情報ほか、登録免許税額を自分で計算し記載しなければなりません。

ワードが使用できないと苦労なさるでしょう。

このように状況で難易度の差が大きいため、一概に簡単・難しいを判断することはできません。

例えばチャレンジをしてみて、難しいと感じられたら司法書士に依頼をすることを再度検討されてもよろしいかと思います。

 

Q6

相続登記はしないままでもいいの?

数年前に親から相続した地方の土地がありますが、とくに名義を変えたりしていません。固定資産税はちゃんと払っていますし、このままで問題ありませんよね?

A

相続登記は現在は義務ではないためほうっておかれる方も多いのですが、不動産の名義人の方が死亡し、さらにその相続人の方も死亡し、さらに・・・と代を重ねるごとに相続関係は複雑化していくため、なるべく早めに名義を変更した方がご自身だけでなく、子供や孫たちのためにもなります。

また現在は義務でないのですが、2021年4月、「民法等一部改正法」が成立しました。

これにより2021年から3年以内に相続登記が義務化され、正当な理由なく申請を怠ると過料金が課されます。

 
 

Q7

建物が未登記なのですが、どうすればよいのでしょうか。

この度、実家を相続しました。司法書士に依頼をして土地については相続の登記をしたのですが、建物は未登記と言われました。未登記とはなんでしょうか、またどうすれば良いのでしょうか?

A

建物を建築すると、建築してから1か月以内に建物を測量して建築した建物の物理的状況を登録するための建物表題登記を申請しなければなりません。

これを怠ると罰則が課されるのですが、実際に罰則を課されるケースは少なく、この建物表題登記を怠っていた又は失念していたというケース(未登記建物)もよくあります。

建物表題登記を申請するためには、下記のような書類が必要となります(建物の所在地を管轄する法務局によって用意頂く書類が多少異なります。下記は横浜地方法務局管轄の場合です。)

・建物表題登記申請書(申請人が作成)

・建物図面(申請人が作成)

・各階平面図(申請人が作成)

・所有権証明書として下記資料2点

工事完了引渡証明書、建築確認一式、固定資産評価証明書、建築請負契約書等

※建築確認一式がない場合は、建築確認が過去に出ているのかを役所に確認し、これに代わる書類を発行してもらう等してもらわないといけません。

・申請人である相続人が物件を取得した事を証する書類として下記等

(下記は遺産分割協議により建物を取得した場合)

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、被相続人の住民票除票、相続人の籍謄本、相続人の住民票、遺産分割協議書、印鑑証明書

建物表題登記は作成・収集する書類の難易度が高いため、土地家屋調査士に依頼をして頂いた方が良いかと思います。

建物表題登記が終わったら、司法書士に依頼をして所有権保存の登記をしてください。

Q8

取り壊したはずの建物の登記簿がまだあるのですが・・・

 父が亡くなったので相続財産を調べたところ、父が生前に取り壊したという物置小屋の登記が残っていることが分かりました。ほうっておいたままで良いのでしょうか?

A

建物を取り壊すと、取り壊してから1か月以内に建物滅失登記を申請しなければなりません。

建物滅失登記を申請するためには、下記のような書類が必要となります(建物の所在地を管轄する法務局によって用意頂く書類が多少異なります。下記は横浜地方法務局管轄の場合す。)

・建物滅失登記申請書

・解体証明書(※解体工事業者の実印が押印してあるもの)

・解体工事業者の印鑑証明書

申請人が相続人であることを証する書類として下記等被相続人の戸籍謄本、被相続人の住民票除票、相続人の戸籍謄本、相続人の住民票

建物解体工事を解体工事業者に依頼すると解体証明書を発行してもらえるのですが、解体を依頼した方が既に亡くなっている場合、この解体証明書を紛失している可能性もあります。

解体証明書がない場合、課税台帳不登載証明書を資産税課で取得し、相続人全員から上申書を作成し実印で捺印した上で印鑑証明書を添付しなければなりません。

(建物の所在地を管轄する法務局によって用意頂く書類が多少異なります。下記は横浜地方法務局管轄の場合です。)

建物滅失登記は建物表題登記に比べれば難易度としては低いかと思いますが、もしご自分でされるのが難しいようでしたら土地家屋調査士に依頼をしてください。

 

Q9

相続した土地を姉妹で分けたいです。どうやったらよいでしょうか?

私は2人姉妹の長女です。現在母が住んでいる実家の土地について、母が亡くなったときは姉妹で半分ずつ相続しようと思っています。私は嫁いでいるので相続した土地は売ってしまいたいのですが、妹はその土地の上に自分の家を建てたいそうです。どのような方法をとれば良いか教えてください。

A

相続人間で土地を分ける方法として、下記があります。

方法1

生前に確定測量と分筆登記をし、あらかじめ相談者が取得したい土地と妹様が取得したい土地を分けておいて、相続が発生してから遺産分割協議でそれぞれの名義にする方法。

もし遺言を作成できるなら、あらかじめ上記のように相続させる旨の遺言を作っておいてもらるとさらに安心かと思います。

この方法による場合、分筆登記は相続人全員が申請人となりますので、相続人の中にこの方法を反対する方がいる場合はこの方法が使用できません。

方法2

被相続人の死亡後、相続登記をする前に確定測量と分筆登記をし、その後、遺産分割協議でそれぞれの名義にする。

方法3

相続登記をして一度相続人の共有状態にする。その後、確定測量と分筆登記をして、共有物分割をする。

この方法による場合は共有物分割というひと手間が入るため、上記2つより費用面の負担が大きくなる可能性があります。

方法1と方法2は費用面ではそこまで変わりませんが、方法2は相続人全員の協力が必要となるため、方法1でかつ遺言を作ってもらうのが一番スムーズかと思います。

 

Q10

土地の境が分からないのですが、隣地人とも不仲で話し合いができません。

父から先祖代々の土地を相続しました。私はこの土地には住まないので売ってしまいたいのですが、隣地とは境が不明確な状態です。また、それが原因で隣地人との仲も良くありません。どうしたらいいでしょうか。

A

隣地との境界が不明とのことなので、これを明確にするためには確定測量が必要になります。

確定測量をするにあたり隣地人の立会いのもと境界立会いを行い、境界を確定します。

よって境界を明確にするためには隣地人の協力が必要不可欠になるのです。

もし隣地人が協力してくれない場合、境界確定訴訟を提起し、裁判で境界を決める方法があります。

筆界特定という手続もありますが、実務上、紛争可能性が低い場合(国土調査や区画整理という客観的に正確な境界の資料がある場合や、隣地人が行方不明等)に使用されることが多いです。

 

Q11

相続税物納のためにする測量は時間がかかるんですか?

相続税を現金で支払えないため相続した土地を物納したいのですが、事前に必要な測量に時間がかかると聞きました。詳しく教えてください。

A

相続税を不動産で物納するためには、隣地との境界を確定させて、測量を行い正確な面積を確定させる必要があります

不動産は実際の面積と登記簿の面積が相違しているということが良くあり、物納する不動産は事前にこの面積の差異を修正する登記をしなければなりません。これを地積更正登記といいます。

地積更正登記や分筆登記を申請するためには土地の境界を明らかにした地積測量図という図面を法務局に提出しなければなりません。

地積測量図には土地の境界を正確に表示しなければならないため、隣地人の立会いのもと境界立会い行い、境界を確定します。

手続きの流れとしては、土地に関する資料を集め(道路査定図や地積測量図等)、現地で専用機材を使って正確な測量を行います。資料の数字と測量した数字に違いがあれば精査し、隣地人の立会いの下、境界確認を行います。

境界確認が終わったのちに、測量図を添付した境界確認書を隣地人と取り交わします。

このような流れをふむため、確定測量の手続きは、土地の広さ等の状況によりさまざまですが、最低でも2か月程度は時間を要しますし、それ以上の期間がかかることもよくあります。(道路との境が正確に決まっていない場合には、半年以上かかるケースもあります)

よって物納を検討されている場合、可能であれば生前からお早めに土地家屋調査士に相談をしてください。

 

Q12

自分で居住しない不動産の活用方法を教えてください。

相続した実家があるのですが、自分では居住しません。なにか良い活用方法はありますか?空き家のまま放置するのは不安です。

A

不動産にも様々な活用方法がありますが、空き家のまま放っておくと建物倒壊や放火、侵入等のリスクがありますので、なんらかの対策が必要になろうかと思います。

そこまで古くない建物でしたらリフォーム後賃貸に出したり、古くなっているのであれば取り壊したのちに売却をしたり、コインパーキングとして貸出たり、賃貸用物件を新築する等があるかと思います。

不動産の活用方法は状況によりさまざまですが、当センターでお話を聞いた上で専門家をご紹介いたしますので、お声がけください